第15話:再び空へ
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イラスト:わたなべふみこ |
ツピちゃんは、傷が完治するまで、オオバタンの翔ちゃんからいろんな 鳥が世の中にいるということを教えてもらいました。翔ちゃんの知識は もっぱら、テレビからでしたけど。(ツピちゃんは、テレビとは、 いろんな光景が見える箱だという説明を受けましたが、いまだに 理解できません。) 鳥には、ツピちゃんみたいな姿をした種類や翔ちゃんみたいなくちばしを もった鳥とか、いろいろといるみたいです。 翔ちゃんの話だと翔ちゃんの仲間の鳥は、翔ちゃんみたいに大きいのから、 ツピちゃんぐらいの小さい鳥や、色も地味なのから派手なのまで、 いろいろいるそうです。でも、共通の趣味は、物を壊すこと。 (ツピちゃんは、翔ちゃんが、家の柱を齧ろうとして、おねえさんに 物凄く怒られたことを思いだしました。) それから、鳥なのに、飛ばない鳥たち。彼らは、その代わりに 海に潜れたり、地面を物凄い速さで走れるということです。 それから、首の長い鳥がいるけど、それらの仲間は、世界一高い山を 超えることができるそうだ。 でも、ツピちゃんが探している鳥は、翔ちゃんは、人間が想像した 鳥(鳳凰や不死鳥など)しか思いあたらないようでした。 ◆◆◆◆◆ おねえさんが、ツピちゃんのいる部屋の窓を開けに来ました。 「お別れだね。」と翔ちゃんがいいました。 「翔ちゃんも、外で暮らせばいいのに。確かに暑かったり、寒かったり 雨にあたったりするし、それに、猫やカラスに襲われて 危険だけど、なんていうのか、大空の下で、飛びまわれば、 そんなこと耐えられると思ってしまうよ。」 「僕は、いいんだ。僕が出て行ってしまったら、おねえさんが ものすごく悲しむから。それに、また君のような怪我した鳥が 来たら、いろいろとアドバイスしてあげれるしね。」 「うん。それぞれの生き方ってあるよね。」ツピちゃんは、 なんだかちょっと悲しくなりました。 「僕は、ここの家に居るから、ついでがあったら、遊びにおいでよ。」 「ありがとう、翔ちゃん」 ツピちゃんは、窓が開いたので、翔ちゃんに別れをいうと、 飛びました。 おねえさんにも、別れの挨拶をしたかったので、おねえさんの 肩に乗るとちょっとくちばしで、おねえさんの顔にふれました。 おねえさんも、「元気でね。」といってくれました。 ツピちゃんは、外の世界へ飛び出したいきました。 ちょっと旋回して、翔ちゃんとおねえさんに最後の挨拶をしてから とりあえず、弟達がいるであろう、ねぐらを戻ることにしました。 |