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第6話:別れ
イラスト:わたなべふみこ
 
 
  おとうさんやおかあさんに甘えながら育ってきた
兄弟ですが、みんなひとりひとりが食べ物を探して
自分で取れるようになってきました。

「あの木の実は食べれる。」
「あの虫は食べない方がいいみたい。」
「あっちには危険らしいよ。」

少しづつ知識も増えてきました。

行動範囲が増えてくると、家族以外の鳥と出会います。

茶色の姿をしていたり、自分たちとよく似ているけど、ちょっと違ったり...
でも、特にこれといったいさかいはなかったです。
むしろ、子供を引き連れたシジュウカラに出会うと、おとうさん同士はよく
けんかをしました。
なぜ、けんかをするのと聞くと
おとうさんは、「まだ、なわばり意識があるからね...」
とよくわからない答えをしました。

1羽で飛び回っているシジュウカラも見かけるようになりました。
彼らは、いろいろと話かけてくれました。

「君たちが、家族と別れる日が来たら、南の方へ行ってごらん。
君たちと同じ時期に生まれた子たちが、集まっているから。」

そんな話を聞いてから、数日後、一番上のお兄さんが、
家族と離れて暮らすといいました。おとうさんも、おかあさんも
反対することなく、むしろ応援しました。

「なんで、寂しいじゃない。」ツピちゃんはいいました。
「お前たちだって、いつかは、ひとりで暮らさなくては
ならにんだよ。僕は、ちょっと早めに実現しようと思っただけだ。
それに、そんなに遠くに行くつもりはないよ。会おうと思えば会えるから。」
お兄さんはいいました。
「そうだね。がんばって。」

一番上のお兄さんがいなくなって、しばらくしてから
2番目のお兄さんも、家族から別れることにしました。

ツピちゃんは、下の弟たちにいいました。
「この際、僕達もおとうさんやおかあさんと別れて南へ行ってみようよ。」
「僕達も、おとうさんやおかあさんと別れなくていけないの?」
「うん。僕達と同じ年のシジュウカラがおとうさんやおかあさんから別れて、
集まっているという話だから、今のうちに仲間になった方がいいと思う。
あまり、ゆっくりとしているとバカにして、仲間にしてくれないかもしれないし。」

弟たちは、しぶしぶでしたが、うなずきました。

「いよいよ、お前たちもひとりだちするんだね。」
と、おとうさんはいいました。
「みんな、十分大きくなったもの」と、おかあさんがいいました。

「これからは、ひとりひとり、自分たちの力で生きていくんだよ。
もう、おとうさんもおかあさんも守ってあげれないから。」
「でも、秋になったら、ここに戻ってきて、立派な姿を見せてね。」

こうして、ツピちゃんたちも、おとうさんとおかあさんと別れて
自分たちの力で生きていくことにしました。