第7話:ジージー
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イラスト:わたなべふみこ |
おとうさんとおかあさんと別れて ツピちゃん達3羽は、若いシジュウカラがたくさんいるという場所に来ました。 (ツピちゃん達が育った場所は、林、ここは村という所だと後で教わりました。) シュジュウカラが集団でいるから、直ぐ見つかると思っていましたが、 そんな様子はありません。 そうこうしているうちにやっと1羽の シジュウカラを見つけました。 「こんにちは。僕、ツピというんだ。この辺にシジュウカラの仲間が 集まって暮らしているという噂を聞いて、ここまで、来たのだけど、 本当なの。」 そのシジュウカラはいいました。 「まあ、ついこの間まではな。われわれシジュウカラは、 スズメどもと違って、10羽も20羽も固まって 行動するような 弱虫でないのでな。」 そのシジュウカラは、若いのに、どうも年寄りっぽい話方をしました。 ツピちゃんは、心の中で、ジージーというあだ名をつけました。 「スズメって弱虫なの? こないだ、僕達が、食べ物を見つけて つっついていたら、攻撃されたけど。」 「やつらは、集団だからいばっているだけなのだ。弱虫の証だ。」 ジージーはいいました。 「スズメのことは、どうでもいいよ。お兄ちゃん。 僕達の仲間のことを聞かなくちゃ。」 「そうそう仲間のことを聞かなくちゃ。で、君以外に仲間はいるの。」 ツピちゃんは、聞きました。 ジージーは、ツピちゃんのことをじっと見てからいいました。 「お前らは、こないだ生まれたばかりの若造だな。道理で、物を知らない わけだ。わしらは、基本的には、 仲間の声が聞こえる範囲内で だいたい2、3羽で行動をしておる。わしみたいにひとりを 好むものもおるが。 秋になったら、その範囲が狭くなってくるが、今の季節は、 皆、冒険をする時期でな。ひとところに留まらないで、 遠出するものもおる。こないだ集団でいた奴らも、 いまじゃばらけておる。一足遅かったな。」 「兄ちゃん、あてがはずれたね。」弟のひとりがいいました。 「おとうさんやおかあさんといっしょに暮らしていた方が よかったんじゃない。」もうひとりの弟もいいました。 それを聞いたジージーは、いいました。 「小さいの、それは違うぞ。シジュウカラは自分で、食べ物を 取ることができたら、親から離れるものと決まっておる。 お前の両親もお前達がいなくなれば、また、お前たちの 弟や妹を育てるかもしれないし、しないかもしれないが、 どっちにしろお前たちが邪魔になってくる。 シジュウカラは誇り高い鳥だから、スズメどものように いつまでも親のそばを離れないで、しまいには、 弟や妹の 世話までする鳥とは違うのでな。」 それから、ジージーは、「じゃ、またな」といって 去っていきました。 「どうする?兄ちゃん」 「う~ん、しばらくこの辺で暮らしてみようか。 そして、もっといろんなシジュウカラの話を聞いてみようよ。」 「うん、賛成」弟達はいいました。 「じゃ、まずは、夜、安心して寝れる場所を探そう。」 ということで、ツピちゃん達は、しばらくの間、村という場所に 住むことにしました。 |