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第9話:雨の日の夢
イラスト:わたなべふみこ
 
 
  ここのところ、雨がずっと降ってます。梅雨に入ったからです。
朝、晴れたなと思って喜んでいたら、すぐに雲行きがあやしくなり
空からぽつんぽつんと雨粒が落ちてきます。でも、ツピちゃん達は、
雨に濡れるのがいやだからなんていって、食べ物を探すのを
止めるわけにもいかず、小降りになると、3羽は雨の中を
飛び回りました。

今日の雨は、かなり強いです。ツピちゃん達は、木の穴の中に
いました。この木の穴は、実は、双子のリスから
提供された穴です。双子のリスの小さい兄弟たちが、
遊びに来たとき、遊びに熱中したあまり、開けた地面に
でてしまいました。上空では、鳶が飛んでいました。
ツピちゃんたちは、それに気がついて、小さい兄弟たちを
里山の木の上に行くように注意しました。
案の定、鳶は、リスの子供たちを狙っていたらしくて、
リスたちが、見えなくなると、去っていきました。
この事を知った双子のリスは、えらい感謝して、ツピちゃんたちに
木の穴の一つを提供してくれました。おまけに貯蔵していた
ひまわりの種までつけてくれたので、餌のとれない日に
ツピちゃんたちは、少しづつ、ひまわりの種を食べました。

そんなこんなで、この日は、3羽ともどうしようもなく
穴の中で、じっとしていました。
ツピちゃんは、うとうとし始めました。ちょっと、
雛の時の気分を思いだしながら。

ツピちゃんは、飛んでいました。開けた野原の上を
飛んでいたので、早く向こうにある木のところまで行かないと
鷹や鷲に襲われると思ってあせっていました。

すると、そばに、ハシブトカラスが飛んできました。
ツピちゃんは、逃げなくてはと、よりいっそう羽ばたきましたが
スピードが思うようにでもせん。

「ああ、誰か助けて」と叫びました。

「君は、...の所へ呼ばれて行くんだろう。僕もそうなんだ。
だったら、仲間だよ。」とカラスは、穏やかな声で
いいました。

「え、どういうこと」

「...に呼ばれて行くのは、選ばれた鳥なんだ。種族を超えて
鳥たちのために行動するために。だから、狩るもの、狩られるものの
関係でも、...の鳥の仲間は、襲わない。」

「僕は、その、まだ会ってないんだ。これから会いに行くところだけど。」
ツピちゃんは不安そうにいいました。

「僕もこれからだよ。でも、仲間だということがわかるんだ。
さあ、いっしょに行こう。」

「そうだね。いっしょに行こう」

と声をだしたとたん目が覚めました。

弟たちは、寝ているはずのツピちゃんに頭をはたかれたので、
兄ちゃん、雛鳥に戻ったのと、避難の目を向けてました。
ツピちゃんは、ちょっとはずかしくなりました。