3月・オシドリ
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イラスト:折笠由香利 |
オシドリ【鴛鴦】 Aix glericulata カモ目カモ科 全長:45cm 漂鳥または冬鳥として渡来する 見られる主な場所は、平地から山地の林、渓流、湖沼、池、水田、河川など。 日本人では、華やかな姿の雄の横に、地味な雌が寄り添って泳いでいる姿を よく目撃されるせいか、夫婦仲のよいことを鴛鴦の夫婦に例えられていたりします。 日本の能の「求塚」では、2人の男に求婚をされた娘が、男たちに鴛鴦を射た方を選ぶ といいますが、2人の矢は、同時に鴛鴦にあたります。娘は、罪のない鴛鴦を犠牲にしながらも どちらか一方を選ぶことができない己の罪深さに思い悩み、死を選びます。 男たちも、後を追うようにお互いを刺し違えて死んでしまいます。 そして、一人の僧が、求塚の前で、己のせいで鴛鴦や男達を死なせてしまった罪で 地獄の責めにあっている娘に出会います。 勝手に解釈しますと、夫婦を象徴される鴛鴦を殺すということは、この娘に 結婚ができない運命を示唆しているのかもしれません。 (この求塚の話は、 川本喜八郎氏による『火宅』という人形アニメーションがあります。) さて、さて、夫婦仲の象徴の鴛鴦ですが、実際の姿は、結婚したら、すぐに、別れます。 子育ては、メス一羽で行います。 ということで、実際の姿から、本当に一生を誓った夫婦を鳥に例えるなら、 キジバト、カラスの方が相応しいでしょうね。 |